【滋賀・彦根】発達障害・うつ・難病・ひきこもり・高次脳機能障害等生きづらさを抱える人たちの相談・就労支援・生活支援・居場所(障害福祉サービス)

「意思決定支援ガイドライン」について

障害のある人の意思決定支援に関するガイドライン(厚生労働省)

自ら意志を決定することに困難を抱える障害のある人も、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることや就労生活において、自ら決めることの重要性は当たり前のこととしてできるようにしていくことが求められています。しかし、自己決定が困難な障害者に対する支援の枠組みや方法等については十分に保障されてきているとはいえない現実があります。
地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律の附則第3条をもとにして、「障害者の意思決定支援の在り方」が見直し事項の一つに挙げられています。これを踏まえて、社会保障審議会障害者部会で、平成27年12月に今後の取り組みについての報告書が取りまとめられ、「意思決定支援ガイドライン(仮称)」が作成され、平成29年3月に、「障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン」(以下「ガイドライン」)として作成され、厚生労働省より通知が都道府県等を通じて各事業所に行われました。本文は、同省のホームページからダウンロードできますのでご参照ください。(PDFファイルダウンロード

滋賀/湖東圏域障害者自立支援協議会で取り組み状況アンケート

平成29年8月に、「ガイドライン」の読み方についての学習会が、障害者自立支援協議会で開催されました。開催にあたって、圏域内の障害福祉サービス事業所や関係団体における「ガイドライン」の認知度や取り組み状況についてアンケートが取られました。その結果、回答した事業所の5割が「聞いたことない」「目を通していない」と答えています。また、意思決定支援の取り組みについては、6割を超える事業所が「取り組みをしていない」という結果です。(以上、アンケート結果を元に記載)

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このアンケートは一部の地域のことだけですが、障害者権利条約のスローガンでもあった「私たち抜きに私たちのことを決めないで」の思いに込められている「自らのことを自ら決める」という当たり前のことが、当たり前のようになっていない現実があるのではないかということを現していると思います。しかし、そのような実態の陰には、「人的配置の少なさ」や「研修機会の不足」や「実践的に意思決定支援をしてこなかった慣例を変えられない実態」など現場の実践上の困難さがあるのではないか。また、その実践を支えるだけの、制度や「自己決定」「自己選択」「意思決定」に関しての考え方の共通項が十分に育っていなことが根本にあるのではないかと言われていましたし、実感としてそのように思っています。

LA PLUSにおける「意思決定」に関しての取り組み

LA PLUS共育センターでは、支援プログラムとして、「意思決定」とはどういう意味でどうしていくことが必要なのかを知ることから始めています。意思決定をするということは、私たちは毎日行っています。意識せずに物事を決めたりしていることから、何を食べるかを考えて決めたり、さらには、自動車を買うといった大きな買い物や人生の転機となる就職や結婚などの決定まで、1人で決めることだけでなく、相談して決めることなども含めて様々な意思決定をしています。意思決定することの大切さやどのような意思決定があるのか、意思決定が苦手な人はどしたら意思決定できるのかなど、意思決定をキーワードにした生活や社会のなかの出来事、ライフサイクルについて学んでいます。
さらに、意思決定をするために開催される意思決定会議(サービス調整会議)では、支援者のための会議ではなく、自分自身の将来のこと、これからのために今何が必要かを決めるための、自分自信の会議であり、その中で自分が意見を言い、自分のペースで物事を決めていっていいことなど、実際の会議を模擬体験すること通じて体感しています。
意思決定(図)平易なことから、高度な内容まである意思決定ですが、しっかりと自分の力で決めていくことができるようにしてくことが、支援者に求められています。「意思決定支援」をしていくことになるのですが、「支援」の前には、「意思決定」の大切さと必要性があることを、支援者自身が学んでおくことを大切にしています。

自己決定はどうあるべきかを考える

先日、「障害者の自立と発達保障」(1997年出版)という立命館大学の教授をされていた加藤直樹先生(故人)の本を読ませていただき、その中の「自己決定」に関しての項目について、大きな課題・理念的な事柄として考えていくことの必要性が今こそ、私たちに求められていることだと気づかされました。そうした視点で、最後に幾つかの点を抜粋して、引用させていただきます。
『「自己決定」をめぐっての幾つかの論議がなされているが、以下の共通する点があること
(1)自己決定問題は、障害者の人権問題の基本問題として重要であり、自立問題と深く関わったものである。
(2)そうであるがゆえに「自己決定能力」ともいうべきものについての検討が必要であり、(中略)自己決定能力の形成等についての実践的あり方の吟味を必要としている。
さらに、発展的に展開する方向で検討するとして
(1)自己決定問題は人間の自由の問題である。(中略)自己決定件の問題は、自己管理能力などの育成・形成とあわせて問題にする必要があると思われる。
(2)自己決定能力の形成問題は、ふえんすれば何も障害者だけの問題ではない。(中略)自決権の行使能力、自治能力などの形成課題は国民的な課題であるともいえる。
(3)「自立は自律である」とする自立観と直接的に結びつくものである。
以上をまとめると、自己決定、あるいは自己決定能力の形成問題のキーワードは自己管理能力、対人関係調整能力、「自律性」などであり、それらは障害者の自立問題に関わるだけでなく、いわば人間発達における今日的国民課題であるといえよう。』

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